行政書士久保田秀房事務所　kubotaoffice

業務内容

行政書士なんてボールペン1本ありゃあできる　

「行政書士なんてボールペン1本ありゃあできる」これは別に行政書士を馬鹿にしている言葉ではない。被災した私が立ち上がるために心に刻んだおまじないです。2011年、東日本大震災のとき、私の自宅兼事務所は津波で流されました。開業2年目で事務所と車を流され、パソコンやコピー機も無い手ぶら状態で放り出されたときは、さすがにイケイケな少年ボーイだった私でも廃業を考えました。突然仕事と住む家をなくした私は、ガレキの中の思い出を一つ一つ探す日々でした。デスクもイスも冷蔵庫もコタツも見つけられず一か月程過ぎた頃でした。
ガレキの山にキラリと光る「行政書士バッジ」を見つけたのです。でかい家具どもが何一つ見つからなかったのにこんな小さいバッジが・・・。行政書士であることを半分くらい忘れていた私は少し目頭が熱くなりました。(/_;)ｵｵｵｵｵｵ　これは神様が「負けんな！！」と背中を押してくれている。と思いました。よっしゃー！行政書士はパソコンやプリンターなんて無くてもボールペン1本ありゃあ出来るんだ！負けねーぞバカヤローと奮起し、私はその日スケッチブックにでっかく廃車手続きやります！と書いて、それを手に市役所に行きました。その頃はテレビもつかず、携帯電話もずっと圏外のままでしたので、たくさんの人が市役所に情報を求めてきていました。当時は情報が遮断されていたので知らなかったのですが、津波で流された車は三陸地方全体で３０万台あったらしいです。私は津波で流されたたくさんの車の廃車手続きを受注しました。ビショビショに濡れてぼろぼろの車検証を何十枚も持って岩手運輸支局に毎日通いました。それから3か月、やっと仮設住宅に入居でき、インターネットが使える環境になったので、さっそくホームページを立ち上げたところ、車庫証明のご依頼が大爆発したのです。それはとても一人でこなせる数ではなく、私は職安に求人をお願いし何人か雇い入れましたが、あまりに過酷な労働環境に皆、次々に辞めていきました。行く先々で釘を拾いタイヤがパンクしたり、道路が壊れていて行きたいところに行けず迷子になったり、街灯が壊れているので夜になると真っ暗で、ましてやたくさんの方が亡くなっている場所なのでものすごく怖いのです。でも次々ご依頼はくるのでそんなことも言ってられないし。車を流された人が車を購入するための車庫証明はもちろんのこと、全国からいろんな企業が宮古、釜石に集まりました。復興特需です。その企業がダンプを何台も購入し、その企業にダンプやトラックを貸し出すリース会社も競って車を購入しました。一度に100台購入する企業もあり、本当に忙しすぎて泣きたくなるほど苦しい7年間でした。あんなに働くことは一生で後にも先にもあの時だけでしょう。あの日から11年たち、三陸鉄道や三陸沿岸道路が開通し、街は復興しました。私の仕事もだいぶやりやすくなりました。あの戦いの日々を乗り越えらえたのは震災から今日まで私に関わった全ての人達のおかげです。今後の人生において、この感謝の気持ちを絶対に忘れず生きていきます。
皆様ありがとうございます

行政書士久保田秀房事務所
代表　久保田秀房